旧海軍艦艇 『一般計画要領書』　（付戦後書写版）

本史料は旧海軍が各艦種ごとの主要目を 「一般計画要領」 として纏めたもので、計画時と建艦後の現状調査とされるデータが記載されていますが、正確な作成時期及び作成者については不明です。

本史料は、戦後海上警備隊が創設され近々に国産艦艇の建造開始が予想されることとなったため、各造船会社などが集まって作られた 「日本造船工業会」 が、その艦艇建造の参考とする為に残された旧海軍史料を集めて関係先に限定配布したもの （一般に 「造工資料」 と呼ばれています） の一つとして知られ、今日では原本そのものとしてよりもこちらの方で有名です。

しかしながら、戦後に残された旧海軍史料の一つとして、本史料がいつ、どの様にして造船工業会の手に渡ったものかは不明であり、私自身は現在の原本の所在も知りません。 　（ （社）日本造船工業会あるいは （社）日本船舶振興会に配布用復刻版の原紙と共に保管されているのではと思いますが、あるいはどなたかご存じの方があればご教示下さい。）

元々の旧海軍の原本は造工資料として纏められた時点においても既に劣化が激しくて大変に読みにくく、一部は複製では判読不明となる部分もあったと考えられます。　そのため原本の複製と共に、その原本から書き写したものも別に作成されました。　しかしながら、私が入手した書き写し版は、造船工業会で作成されて一緒に配布されたものなのか、配布されたどこかの造船所において作成されたものなのかは判りません。　（これもご存じの方があればご教示下さい。）

ここで公開します原本の写しも一部判読できない部分がありますので、書き写し版の方も掲載いたします。　ただし、残念ながら 書き写したものの方には写し間違いが何個所かずつあります ので、本史料の使用に当たっては両者を比較してチェックする必要があることにご留意ください。

本史料にあるデータそのものは、戦後の多くの一般刊行物などでも掲載されていますので、特段に珍しいというものはありませんが、旧海軍の史料を出来るだけ原本に忠実にディジタル化して、本サイトにてお見せできることにその価値があると考えます。

とは言え、私がディジタル化したものは、元々の青焼きのものを電子複写したものを元資料としていますので、そのままでは見づらいことと、 ファイルの容量を減らことの２つの理由ため 白黒を反転 させましたことをお断りいたします。　将来的にサイト容量を増やした時には元のブループリント形式で公開するかも知れませんが・・・・

原本と書き写し版の両方の全頁をそれぞれ１つのＰＤＦファイルとして公開 いたしますが、特に前者はファイル・サイズが大きいのでダウンロードの際にはご注意 ください。

旧海軍艦船史研究の大家であるＨＮ 閑居不善庵 氏から、本史料の性格及び作製経緯などについて掲示板の方で解説をしていただきました。 　旧海軍史料に関する戦後史の部分を含め、今まで刊行物などでも語られることのなかった大変貴重な内容 ですので、氏のご了解をいただいた上で、ここに纏めて掲載いたします。 　なお、掲載に当たり掲示板投稿時とは多少レイアウトなどを整えさせていただきました。 　閑居不善庵氏には本サイトでこのような貴重なお話を掲載させていただけることにお礼と感謝を申し上げます。　（平成２０年１２月４日）

ご覧いただければお判りのように、原本には最後にあるべき 「初鷹」 「若鷹」 の 『復元性能表』 がありませんが、 戦後書写版にはこれがちゃんと記載されております。
　 理由としては、（１） 元々原本には無かったので書写版作成時にこれを加えた、（２） 書写版作成時には原本にあったが、印刷・複製時までに紛失した、 の２つが考えられます。
　 しかしながら、（１） の理由では、たまたま都合良く両艦の復元性能データを造工関係者の誰かが持っていた、と言うことは余りにも不自然であることから、 故意か過失かは判りませんが、（２） の理由が本当のところであろうと推測されます。

本特務艦には戦後書写版はなく、原本のみです。　本当の理由は分かりませんが、おそらく原本の状態が比較的良好だったために 作られなかったものと考えられます。　残念ながら３８ページ目が欠落しておりますが、少なくとも本資料が配付された２個所のものにありませんので、元々の造工資料作成時から無かったものと判断されます。　なお、公開初版に無かった 特務艦 （特） 第２９０１号艦 の復元性能表を追加 しました。

戦後書写版で 第５４８１号艦 （駆逐艦 「松」） の重量比較表 が元史料では特務艇の項に入っておりますので、本来の在るべき形としてこちらに戻しました が、このため当該頁の頁数表示が連続しておりませんことにご注意ください。

戦後書写版は、第１３号艦型（掃海艇第１３号）、第１７号艦型（掃海艇第１７号）、第７号艦型 （掃海艇第７号）、第１６４号艦型（掃海艇第　号）、第１９号艦型（掃海艇第１９号）の復元性能が特務艇の項に入っておりますので、 これを本来在るべき本項に戻しました。

本駆潜艇には戦後書写版はなく、原本のみです。　理由は分かりませんが、おそらく原本の状態が比較的良好だったために作られなかったものと考えられます。

原本の元資料に 主要寸法表 （一） 及び同 （二） が欠落しておりましたので追加 いたしました。　また、戦後書写版の元資料に特務艇以外のものが含まれて いましたのでこれらを訂正 しましたが、このため頁数の記述が不連続になっておりますのでご注意下さい。