解説 : 「一般計画要領書」について(その1)


公開された頃に示すつもりでしたが、最初に書いた文を読み直しているときに、これまで言われていたことが必ずしも正しいとは言えないことが分かり、書き直したり、調べ直していて遅くなりました。 この資料については単なる伝聞だけで直接、関係したことがなく、また、これについての記事や解説などを見た記憶もないのではっきりしないこともありました。 結局、残されている当時の関係書類や図面などを見てこんなものではなかったかと推察して書く始末で、出来るだけ正しく述べようと努力を重ねて何回も書き直した次第です。




 「一般計画要領書」とは



最初に、残っている旧海軍の史料から 「一般計画要領書」とは・・・・という位置付けについて推測をしてみました。


まず、公開中の「一般計画要領書」は艦種ごとに個々の艦について、一覧表的に記載されているが、本来の「一般計画要領書」はこのような形式ではありません。 当時このようにまとめた理由は分かりませんが、比較検討などには便利であるので何らかの利用目的により作成されたと思われ、これについては後述します。


例えば、「海防艦丙、丁 計画方針説明書(其ノ一 主要性能関係)」 という文書では、次のように順を追って13項目にわたって述べられています。


      1.軍令部要求
      2.計画の経緯
      3.一般計画の根本方針
      4.船体主要寸法
      5.線図
      6.速力
      7.航続力
      8.重量配分
      9.復原性能
     10.浅海性能
     11.動揺性能
     12.船体強度
     13.図面目録



この13.図面目録 の中に「基本計画にて調整すべき図面次の通り」として、次の図面があります。


       「一般計画要領書」
       「艤装大体図」
       「計画重量重心計算書」
       「中央部構造切断」


そして 「 同 (其ノニ 配置及び艤装関係)」 では次のようになっていて、「其ノ一」及び「其ノ二」の項目はほぼ「一般計画要領書」に示す項目となっています。


      1.兵装一般方針
      2.砲こう兵装
      3.機雷兵装
      4.航海、光学兵装
      5.電気、無線兵器
      6.機関関係
      7.錨、錨鎖、曳航繋留装置
      8.短艇等
      9.居住施設
     10.倉庫
     11.通風装置
     12.諸タンク


なお、これらの文書には、「海防艦丙」は 「艦本艦軍極秘18第837号13」、「海防艦丁」は 「艦本艦軍極秘18第896号10」 というように、各々の文書番号が付与されています。


また、「第2901号艦型計画方針説明書(其ノ一)」 及び 「 同 (其ノ二)」 (注:第2901号艦型は一等輸送艦) では、項目はほぼ同じですが、こちらの「其ノ二」では更に次のものが加えられているので、この項目は艦種により増減することが分かります。 また、これに伴い図面も25項目に増えています。


さらに 「第56号艦型一般計画要領書(基本計画概案)」(昭和13年1月) (注:測量艦「筑紫」) という文書がありますが、「基本計画概案」と書かれていて、これが「一般計画要領書」の最初の段階のものと考えられます。



(その2)へ続く





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最終更新 : 04/Dec/2008