第11話 『二〇三高地』 |
第11話 『二〇三高地』 (再放送の第21、22回) は、第10話 『旅順総攻撃』 (再放送の第19、20回) に引き続きタイトル通り陸軍関係が主となりますので、海軍関係は大きな出番はありません。
旅順正面攻撃に頓挫した陸軍が、やっと二〇三高地攻略に作戦を転換し、そしてこれを占領するまでがドラマの主たる流れです。 これに対して、その途中途中で “まだか、まだか” とヤキモキする連合艦隊司令部の姿が織り込まれることになります。
前半では業を煮やした児玉が第三軍の指揮を執りに旅順へ向かうところまでですが、海軍関係として出てくるのは 「三笠」 艦内での連合艦隊司令部のシーン2回だけです。
〇 「三笠」 艦内 : 東宝スタジオ長官公室、士官公室セットなど (平成22年1月)
( 士官公室セットの外側、と言うか裏側 )
( 成城東宝の第4スタジオ、ここに三笠艦内セットが置かれていいました)
前半では海軍関係はこれだけ (^_^;
いや〜、それにしても児玉源太郎を演じる高橋英樹氏、いいですね〜 そして何と言っても陸戦シーン、カメラさんや演出はもちろん、VFX効果も併せて実に素晴らしい映像になってます。
これまで描かれてきた日露陸戦関係の映画やドラマのものとは一線を画すような出来と思いますが、いかがでしょうか。 えっ、褒めすぎ? (^_^)
後半は二〇三高地攻略というまさにこのNHKスペシャルドラマ 『坂の上の雲』 での陸軍関係のクライマックスです。 したがって当然ながら、またまた海軍関係は大きな出番はありません。
第三軍司令部に到着した児玉の指示により、移動した二十八糎重砲による二〇三高地への砲撃を 「三笠」 艦上より遠望するシーンと、同高地占領後に港内の旅順艦隊砲撃の成果を喜ぶシーンは
〇 「三笠」 艦上 : 加賀・日本元気劇場の三笠セット
続いて、東郷が旅順脱出を企図する敵艦隊への警戒と修理のため連合艦隊各艦の日本回航を指示するシーンは
〇 「三笠」 艦内 : 東宝スタジオの長官公室
そして、炎上するロシア艦の大写し映像は、先にご紹介したマルタ・ロケでのロシア艦セットでのものを利用しています。
最後のところで 「三笠」 の艦上や真之の私室場面が細切れに出てきますが、これらは全て加賀・日本元気劇場と東宝スタジオで撮影されたものの組合せです。
第11話 『二〇三高地』 (再放送の第21、22回) も海軍関係はこれだけ (^_^;
ところで、この第11話、特に今回の後半は台本上も、そして実際に撮影した内容からも、本当はもっと長いんです。 しかしそれらを全て盛り込んではとても90分の枠の中に収まりません。 このため、かなりあちこちをカットしつつ、全体の流れを通して画面効果が最高になるように大変上手く編集されています。
この辺は加藤拓監督の手腕ですね。 見事な出来で、惜しくも受賞は逃しましたが、流石は 「エミー賞」 にノミネートされるだけのことはあります。
それにしても、「見えま〜す、丸見えでありま〜す。 各艦一望の下に収めることが出来ま〜す。」 と叫ぶところは名シーンですね。 この俳優さん、実に良い役を貰いましたね (^_^)
なお実際には、二〇三高地山頂から旅順港を眺望した時の状況はこのドラマにある12月5日の同高地占領時よりも早い、12月2日に同山頂に上がった第三軍への派遣将校によって連合艦隊にもたらされております。
まあ、この辺は史実に基づいて詳細にしなくとも、ドラマとしての流れ上から今回の放送のように制作した方が効果的と思います。
余談ですが、5年前に私が旅順の二〇三高地を訪れた時のことは次の記事でご紹介しておりますので、ご参照下さい。
「大連訪問記 (3)− 旅順・203高地」 :
http://navgunschl.sblo.jp/article/37220768.html
この二〇三高地山頂から旅順港を見下ろした私の平成12年訪問時の写真及び当時の記録写真は、今回の場面制作の参考としてNHKさんに提供いたしました。
上の名セリフならずとも、当時実際に旅順港を見下ろした時の彼等の感慨は何とも言えないものがあったでしょうね。 まさに歴史上の重大な一コマです。
最終更新 : 02/Jul/2017