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第9話 『広瀬、死す』 後編




第9話 『広瀬、死す』 の後半 (再放送の第18回) は旅順口閉塞作戦がメインで、NHK 『坂の上の雲』の第2部最後の目玉でもあります。 まさに海軍関係の出番。

そして何と言ってもマルタでのロケを中心に、これに様々な時期と場所でのものを組み合わされ、さらに素晴らしい特殊効果とCGとが合わさって、大変に印象的な映像になっていると思います。

まずは前回の開戦劈頭における旅順口奇襲で不十分な成果しか収められなかった連合艦隊司令部の続きからです。




 旅順口閉塞作戦の準備


〇 真之・有馬・広瀬の作戦会議 : 東宝スタジオ・士官公室セット (平成22年1月)





このシーンは元々の台本には無かったもので、後から追加になりました。 真之の作戦要領説明のセリフは私が作ったもの。 そしてもちろん海図の書込も私で、詳細に描き込んであるのですが、画面の構図の関係でほとんど見えないのが残念 (^_^;


〇 作戦要員志願 : 記念艦三笠 (平成21年4月)





これは下士官兵が嘆願のために分隊長室に押しかけるシーンで、本来は分隊長室内でのやりとりも含めてもっと長かったのですが、放映回の全体の尺の関係で血書のところだけの編集になってしまいました。


〇 真之と広瀬の語らい : 加賀・元気劇場 (第2回 平成21年9月)





 第1回閉塞作戦


〇 見送りなど    「三笠」 艦上 : 加賀・元気劇場 (第2回 平成21年9月)

             「報国丸」 「天津丸」 船上 : マルタ・福井丸セット (平成21年5月)




なお、夜間の船上で起爆装置のチェックを行うシーンがあります。 この起爆装置、陸軍関係シーン用に作られたものの流用で、この様な碍子が剥き出しのものは実際の艦上で使うことはありません。この後の閉塞作戦実施中の 「福井丸」 と脱出用のカッターのシーンでも同じものが出てきますが、それはそこ、ドラマ上そのような装置であるということを視聴者の方々に判りやすくする “画面効果” ということで (^_^;


( 広瀬が機関長の栗田にロシア語の側幕を説明をするシーン )

〇 作戦後の真之と広瀬 : 東宝スタジオ・士官公室セット (平成22年1月)

〇 作戦後のロシア艦上のボリス : 川口・ロシア艦セット(平成21年2月)




閉塞船の残骸を見に旅順港内から出てくるシーンですが、広瀬が書いたロシア語のメッセージ幕が波間に漂うカットはマルタの浅水槽でのものの組合せです。




 第2回閉塞作戦の準備


〇 閉塞隊指揮官等任命 : 東宝スタジオ・士官公室セット (平成22年1月)

〇 「福井丸」 船上の機砲操作 : マルタ・福井丸セット(平成21年5月)

〇 「福井丸」 船内での真之と広瀬 : 東宝スタジオ・士官私室セット (平成22年1月)


このシーンは台本上の設定では船長公室なのですが、セットの問題と画面効果から、士官私室のセットを模様替えして倉庫内のような雰囲気にしております。 実際には 「福井丸」 は元々商船ですので、立派な船長室や士官公室などがあり、閉塞隊の将校はこれらを使用していることは申し上げるまでもありません。 それはそこ “ドラマですから” (^_^)

なお、このシーンの途中で出てくる甲板室サイドにロシア語のメッセージを書くシーンはマルタ・福井丸セット (平成21年5月) でのものです。


( 黒いTシャツの人は 「カンちゃん」 こと美術の神林さん。 まだ若いですがこの人のセンスはなかなか見るべきものがあります。)

〇 閉塞隊見送り    「三笠」 艦上 : 加賀・元気劇場 (第2回 平成21年9月)

               「福井丸」 船上 : マルタ・福井丸セット (平成21年5月)


( 5月のマルタで真冬の服装のシーンですから (^_^; )




 第2回閉塞作戦の実施


〇 「福井丸」 「千代丸」 船上 : マルタ・福井丸セット (平成21年5月)

〇 待ち伏せのロシア駆逐艦 : 川口・ロシア艦セット (平成21年2月)




〇 広瀬の杉野捜索 :   船上 : マルタ・福井丸セット (平成21年5月)

                 船内 : 記念艦三笠 (平成21年4月) 及び

                       東宝スタジオ・通路セット (平成22年1月)


   

( 記念艦三笠の下甲板  照明を工夫して )

( 東宝スタジオのこの通路セットを使っての撮影の最後の最後に )

〇 カッターでの脱出 : マルタ・浅水槽 (平成21年5月)







〇 有馬の作戦結果報告 : 東宝スタジオ・長官公室セット (平成22年1月)

〇 真之の慟哭 : 東宝スタジオ・士官私室セット (平成22年1月)

〇 「三笠」 艦上の真之 :  加賀・元気劇場 (第2回 平成21年9月)


この閉塞作戦と広瀬の戦死シーンは、元々の第2部の最後であり、NHK 「坂の上の雲」 の見せ場の一つであるだけに、演出、編集、CGの全てにわたって大変素晴らしい “ドラマ” になっていると思います。

もちろん史実と照らし合わせると、細かいところは色々あります。 しかしながら、史実を忠実に表現するだけではドラマにはなりませんし、画面としてもつまらないものになってしまうでしょう。

したがって、これだけの映像になっていれば、海軍関係のアドバイザーの一人としても文句はありません。 NHKさんが総力を挙げて制作した成果だけのことはあると思います。


余談ですが、アリアズナが広瀬に渡したロケットが海底に沈むカットは、小さな水槽の中にポチャッと投げ入れたものを撮ったもので、見事1回で監督さんのOKが出たとか (^_^)







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 最終更新 : 02/Jul/2017