第7話 『子規、逝く』 前編 |
第7話 『子規、逝く』 の前半(再放送の第13回)は、海軍大学校の戦術教官となった真之の話しがメインで、江田島ロケのものがメインになります。
実際には海軍大学校における兵棋演習は大きなテーブルの上で行われたものですが、第2部担当の監督の佐藤幹夫さんが江田島の大講堂の雰囲気が気に入られて、どうしてもここでやるようにしたいとの強い要望でした。
そして、台本では日清戦争における黄海海戦が演習テーマとされていますが、その演習そのものの細部は台本には書かれていませんでした。 したがってもうここは私の出番であり、独壇場。 この兵棋演習のところは全部私が作ってしまいました (^_^)
「フロアーゲーム」 (Floor Game) と呼ばれる米海軍のWar Game の中の一形式と旧海軍の兵棋演習の実施要領とを応用し、それを私風に少々アレンジしたものです。 もちろん、演習の進め方や、コマなどの動かし方、演習部の学生や審判部の教官達の動作、そして判定表などを始めとする演習の小道具なども全て私が考えたものです。
前半の戦術演習の場面で、審判の教官がサイコロを振って結果を確認する判定表は私の手書きのものです。 これはちょっと大きく映るかと V(^_^)
当然のことですが、ADさんを始めとするスタッフの人達はこんなことは全く知らない世界のことですから、まず “兵棋演習とはなんぞや” についてのレクチャーに始まり、演習のやり方を私が作ったシナリオに従って一つ一つ解説を。 その後スタッフさん達と一緒に全体を通しての事前練習を何回やったことか。
( 余談ですが、この図演の準備の間にこの関係スタッフとは別のチームによって約1ヶ月のマルタ・ロケが行われました。 私もこのマルタ・ロケに参加したわけですが、その途中で図演担当のチームのADさんから何度か細部の確認についての国際電話がありまして、短くて数十分、長い時には1時間超の時も。 もちろん私の携帯を使っての国際電話ですから受ける側も通話料金がかかるわけで ・・・・ (^_^; )
そして、後半の極東の地図が描かれたキャンバスの上で広瀬がロシア海軍情勢について学生に語るシーンがありますが、これは戦略図演でのものです。 このセットも私の提案によって美術さんが上手く作ってくれました。
戦術図演も戦略図演も、佐藤監督の演出とカメラさんの映像によって、雰囲気が良く出ていると思いますが、いかがでしょうか?
俳優さん達の後ろで図演を見学する将校役のエキストラは、全て現役の第1術科学校の職員及び学生のボランティアです。 もちろん希望者が多くて学校側は選ぶのが大変だったとか (^_^; これらの選抜メンバーからスタッフさんが現職の階級などには関係なく、個人個人の顔つきなどを見て役職を割り振ったそうで、確か将官役は海曹教官だったかと。
撮影の最後には1術校エキストラさん達は本木さんなど主要な役者さんと一緒に記念撮影を。
続く海軍大学校の廊下での真之、広瀬及び八代の三人のシーンは、同じく江田島ロケの中で。
この旧海軍兵学校 (現海上自衛隊幹部候補生学校) の赤レンガの廊下は、『坂の上の雲』 全13話の中でも異なったシーンで何度か出てくるのですが、今回はドラマ上は先の第2話 『青雲』 での真之の兵学校入校シーンに次いで2度目です。
最終更新 : 02/Jul/2017