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第6話 『日英同盟』 後編




 広瀬のロシア滞在シーン


第6話 『日英同盟』 の後半 (再放送の第12回) は、日英同盟締結を巡るシーンが中心ですので、海軍関係は少ないですね。 そして全体を通してやはり海外ロケのものがメインになります。

まずは訪露して日露協商に奔走する伊藤博文 (加藤剛氏) に対して広瀬が意見具申をするシーン。  残念ながら、私はこの撮影がいつどこで行われたのか知りません。 渋谷でのスタジオ・ロケ?

明治34年の場面ですので、広瀬が少佐に進級しているのは合っていますし、階級章が3本線になっているのも正しいです。 したがってロシア・ロケよりは後のものかと。

ところが、この後広瀬に帰国命令が出て音楽会の場でそのことをボリスから集まった人々に紹介されるシーンがありますが、これも前話 『留学生』 後半 (再放送の第10回) での舞踏会シーンと同じロシア・ロケでのものですが、折角広瀬の階級章を替えたものを用意しながらやはり明治40年改訂以降の2本半となってしまっています。 先の八代六郎の時以上に目立つだけに、ちょっと残念なところです。


そして楽会シーンの中で、アリアズナとボリスによる送別の 「荒城の月」 を演奏するところで、広瀬が故郷の竹田を想うシーンが出てきます。 これは平成21年4月八王子の滝山城址公園でのロケです。

私が関係する (お呼びがかかった) シーンではありませんでしたが、近くでしたので家内を連れて散歩がてらちょっと見学に。




アリアズナ役はもちろん本来のマリーナ・アレクサンドロワさんではなく代役さんで、ドラマでは顔がUPになるところだけは後で本人の映像を合成したものです。




こんなところで 「坂の上の雲」 のロケをやっているとは近隣の人達も知らなかったのでしょう、関係者以外誰もいないところで家内とノンビリ、撮影と満開の桜を楽しませて貰いました (^_^)






 広瀬の帰国関連シーン


そして第6話 『日英同盟』 の終盤の流れは、帰国命令が出た広瀬が大陸を横断する場面で、間々に関連するカットが挿まれていきますが、帰国して常備艦隊参謀となっていた真之のところへ広瀬から葉書が届き 「常磐」 の私室で読むシーンは、平成22年1月12〜24日の成城東宝スタジオでの一連のロケの中で。

この私室のセットも中の模様替えをしながら実に色々な場面に使われました。 十分元は取ったかと (^_^)

ただ、このシーンの中で実際のこととして一つ “?” というところがあります。 監督の佐藤幹夫さんも承知の上で画面効果上の確信犯でやっているのですが、お判りになるでしょうか?

実際の艦船では、縦動揺 (ピッチング) より横動揺 (リーリング) の方が大きいことはご理解いただけると思います。 このため、ベットは寝ている者の頭が横動揺で大きく上下する形になり、眠れるような状況ではありませんので、艦の縦方向に配置します。 ( これはもちろんハンモックの場合も縦方向です。 両端を梁 (ビーム) に吊りますので、横動揺があっても揺れないわけです。)

反対に事務机と椅子は艦の縦方向対して真横になるように配置されています。 横動揺に対して椅子に座ったまま両足で踏ん張ることができるからです。

このように基本的に士官私室などの配置はどの艦種、どの艦型でもこれを基準にします。 ただし、艦の構造や室内レイアウトの都合でこのようにはできない部屋が出てくる場合もあることはもちろんです。

( 「三笠」 下甲板艦尾区画のレイアウト )

その一方で、士官室や長官公室などの大きな (多人数が使用する) 部屋の場合、特に舷側に沿って長いソファーが置かれているような場合には、大きなテーブルはこれに従って縦方向の場合もがありますし、艦尾区画は幅が狭いので物理的に横置きにできないことが多くあります。 また、当時のこれら公室は内装が大変豪華に施されており、このためもあってレイアウト上の都合もあるからですが、その代わりテーブルや椅子は比較的ドッシリとしたものになっています。

( 戦艦 「八島」 の長官公室の例 )

そして最後の、時化の中を真之が露天甲板に出て艦橋に上がるシーンは、平成21年9月11〜17日の第1回日本元気劇場さんのロケでのもので、「三笠」 セットを部分的に 「常盤」 に見立ててのものです。 動かない陸上セットの上で、本木氏は艦の動揺と風を上手く演じているように見えるでしょうか (^_^)







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 最終更新 : 02/Jul/2017