第6話 『日英同盟』 前編 |
第6話 『日英同盟』 は元々の放送では平成22年12月の第2部4話の最初のものでした。 この第6話の前半 (再放送の第11回) での海軍関係では、米国留学から英国駐在武官となった真之と、それに併せてロシアから英国を訪れた広瀬の二人の話しがメインで、海外ロケのものが中心になります。
とは言っても、ポーツマス軍港での 「朝日」 艦上シーンなどは、日本元気劇場さんの 「三笠」 セットなんですが (^_^;
( 加賀市にある 「日本元気劇場」 は平成25年より一時閉鎖となっていますが、現在に至るも再開の目途は立っておりません。 この 「三笠」 セットもそのまま放置状態となっているようです。)
( 平成28年6月撮影とされる衛星写真 出典 : Google Earth より )
まずはその英国で落ち合った真之と広瀬が、竣工したばかりの 「朝日」 をポーツマス軍港で見学するところからです。 上記のとおり、真之達が交通艇に乗って 「朝日」 に向かっている場面は英国ロケ、「朝日」 艦上でのシーンは平成21年9月11〜17日の第1回日本元気劇場さんでのロケです。
このため、交通艇から見た 「朝日」 の全景CGは、更に近づいた時にUPとなる元気劇場さんの 「三笠」 セットでの艦橋付近の映像と合わせるために、実艦の 「朝日」 の姿ではなく 「三笠」 となっています。
( 艦橋回りに配置された日本人将校やビッカース社の技師達役 )
たったこの見学シーンのためだけに、新たに 「朝日」 のロケセットを作るなどは費用対効果の上で全く無駄ですし、画面効果としても問題ないと言えるからです。 ( もちろん、当然ながら「朝日」 の精密なCGは日本海海戦シーンなどのためにVFXさんがちゃんと別に作ってくれています。)
流石に交通艇上の真之達の立ち振る舞いや、「朝日」 艦上での二人の記念撮影の場面などはちょっとオーバーですが、それはそこ “ドラマですから” (^_^;
( NHKさんの広報画像より )
続く英海軍大学校でのシーンは、グリニッジにある実際の元海軍大学校でのロケ。
( Royal Naval College, Greenwich は英軍の統合国防大学校などに併合され昭和58年 (1983年) に完全閉鎖、跡地は現在そのまま海事博物館などになっています。)
(昭和49年に世界一周遠洋航海で訪れた時の英海軍大学校にて)
もちろん今回のこのシーンのようなことは史実に無いことですが、真之と広瀬のドラマ上のエピソードの一つとして入れられたものです。
ただし ・・・・ 実際には、英海軍大学校であっても、単なる研修で訪れた (ドラマ上では日本語字幕は “招待” となっていますが) 二人の外国海軍大尉に対してこの様な接遇はあり得ないことです。 それに中庭でのシーンは、何故か両国の国旗ではなく軍艦旗が掲げられていますが、もし掲げるにしても儀礼上の慣習からして左右が逆ですし、また、将校が儀式でサイドパイプを吹くなどということもあり得ません。
撮影時に英国側のスタッフなどからも誰も指摘は出なかったのでしょうか? このへんはちょっと不思議なところです。 もちろん海外ロケですから帰国後となっては撮り直しはできませんし、元々の第6話としても大きなシーンですのでカットしてもらうわけにもいかず ・・・・ “ドラマですから” (^_^;
( 会食シーンで使われた Painted Hall )
(現在でも非常に格式高い正餐用のレストランとして使われているようです)
続く二人の欧州旅行のシーンと、その後の真之の帰国後の旅順港潜入偵察シーンは、ご覧になって一目瞭然、渋谷のスタジオ・ロケでのものに背景を合成したものです。 例えば、次の様に。
これらは、平成22年6月7〜9日のスタジオ・ロケでのもので、ロケとしてはこれに続く日本海海戦時の 「三笠」 露天艦橋シーンをもって、「坂の上の雲」 全13話は全て撮了となりました。
ドラマ上は続いて、印象的な広瀬とアリアズナとの湖畔での語らいのシーンなんですが ・・・・ 私もこういうロケに参加してみたかったですね〜 (^_^)
第6話 『日英同盟』 前半 (再放送の第11回) の最後は、特命全権大使の小村寿太郎 (竹中直人氏) が北清事変 (義和団の乱) の講和条約 (北京議定書) 締結を終え、居留民保護のため派遣されていた 「千歳」 で帰国するシーンです。
「千歳」 に乗艦する場面は、平成20年11月の第1回川口ロケで 「浪速」 の関連シーンを撮影する前にこのセットを活用したもの。 もちろん実艦の 「千歳」 とは全く異なりますし、それにセット上の甲板が非常に狭いので、舷門での出迎えや衛兵隊などの並びも正式なやり方とは違います。
( 当該シーンの撮影日とは別の日ですが同じ場所です )
また、礼砲の実施時期も正規のやり方ではありませんが (正しくは乗艦時から、ドラマでは既に礼砲を打ち始めた後に乗艦) ・・・・ 画面上の雰囲気重視ということで、“ドラマですから” (^_^;
そして、衛兵隊の前を過ぎたところで立ち止まった小村に、後ろに従っていた艦長が 「司令官室岡少将がお待ちです」 というセリフがありますが、先導していた室岡が小村を案内せずにスタスタ行ってしまうなどはこれも儀礼上実際にはあり無いことです。 これは次の小村と真之とのシーンに繋げるための少々無理矢理な設定なのですが ・・・・ “ ドラマですから” (^_^;
続いて僚艦の 「吾妻」 に乗艦中の真之を呼び寄せて公室で一緒にカレーライスを食べるシーン。 これは平成22年1月12〜24日成城の東宝スタジオでの一連ロケの中での一つです。
( 卓上のパイナップルは ・・・・ ? )
この公室のセットは、「千歳」 の他、後の回で 「三笠」 「ニコライ一世」 と模様替えをしながら色々使われています。 川口ロケでの巡洋艦セットもそうですが、このセットも十分元は取っていますね (^_^)
最終更新 : 021/Jul/2017