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第4話 『日清開戦』 後編




 「筑紫」 威海衛砲撃シーン


第4話 『日清開戦』 の後半 (再放送の第8回) での海軍関係は、真之の乗り組む 「筑紫」 の威海衛砲撃関連のシーンからです。 このシーンは、平成20年12月10〜15日の第2回川口ロケにおいて、第1回ロケでの 「浪速」 セットを改修した 「築紫」 セットで撮影されました。

まずは出撃前夜に航海準備を終えた真之が花田や部下の下士官兵と主砲塔天蓋の上で談笑する場面です。








まあ、実際の旧海軍において作業など必要時以外に主砲塔天蓋上へ上がって、しかも将校と下士官兵が車座になるようなことがあるのか、ということですが、それはそこ “ドラマですから” (^_^)


続いて威海衛砲撃の場面です。 セットも合戦準備状態らしくします。 とは言っても実物のハンモックなどは準備できませんのでキャンバスを丸めたものでそれらしく。






砲撃中に真之が六分儀を横に構えているカットが出てきますが、中には “変なの〜” と思われる方もおられるかもしれません。 これは陸上の2点間の角度を測って、予め作成した表から距離を割り出す方法を表現しています。

そして、陸上砲台からの砲撃を受けて被弾する場面。 海図室にいる真之のところへ 「戦闘旗が落ちました〜」 と水兵が報告に来ますので、真之は予備の軍艦旗を花田に渡して揚げ換えを命じます。 ここは監督の求めに応じて私がアイデアを出したものですが、最初にこのセリフを聞いたあるスタッフが、一瞬 「えっ、“戦闘機” が落ちた〜?」 と思ったとか (^_^;

そして花田がマストに上がる途中で敵弾により被害を受けます。 セットも段々とそれらしく手を入れていきます。 美術さん、なかなかですね。








海図室にいた真之はこの爆風の衝撃で一時耳が聞こえなくなり、フラフラと上甲板に出たところで戦死した花田を見つけます。




背景の砲台回りの演技などは色々アドバイス。 例えば、耳が聞こえない真之に向かって砲台長が叫んでいるカットは、「航海士、距離知らせ!」 と叫びながら演技しています。

それにしても、砲弾命中での映像、特効 (特殊効果) さんの出番ですが、ド派手ですね。 いかにも戦闘シーンらしい見栄えで、迫力があります。




この砲撃作戦の後、「筑紫」 は降伏した北洋艦隊の根拠地である威海衛に入り、損傷個所の修理を行いますが、その時に広瀬が真之を尋ねて来ます。 もちろんこの場面はフィクションですが、真之と広瀬の絆を深めていくために作られたものです。

そして、真之に後々まで続く “海軍を辞めたい” となるトラウマが、この花田の死によって始まるという設定になっています。


( 撮了となった花田役の須田邦裕氏と記念写真を )



 戦勝祝賀会シーン


続いて佐世保での戦勝祝賀会でのシーンになります。 これは、平成20年9月の江田島・呉ロケで、第2回で出てきた真之の兵学校入校関連と一緒に撮影されたものです。






この時に、監督やスタッフさん達はもちろん、俳優さん達も一つのロケの中でシーン、シーンの違いをよく理解し、頭を切り換えながら撮影に臨んでいるもの、とつくづく感心した次第です。

この江田島ロケでの、パーティで盛り上がる皆から離れて水交館の池のところで広瀬と語り合う場面の後、真之は庭から屋内のビリヤード室に入り、そこで東郷と語り合うシーンに続きます。 この室内シーンは福島県の猪苗代にある 「天鏡閣」 というところでのロケですが、残念ながらこれには参加しておりません。

で、この場面での映像をよ〜くご覧になると “あれっ” というカットがあるのですが ・・・・ お気づきになるでしょうか? この 「坂の上の雲」、私達アドバイザーが誰もロケに参加していないところに限って、後から何某か問題が出てくるんですよねえ。 もちろん、後の回でも色々と (^_^;



ロケでの撮影の順番はともかくとして、ストーリーの順序では海軍関係もことも多くなりますので、この第4話頃から 「海軍軍事指導」 と言う役目は段々忙しくなります。

ロケ立会いが中心となりますが、その前の台本のチェックに始まり、ADさんや美術さん達との打合せや資料提供、主要な役者さん達のリハーサルなどがありますし、ロケが終わった後はVFXさんとの調整、編集段階での確認への参加、などなどがあります。

そして肝心なロケでは、撮影に先立つ美術さん達の準備の確認、エキストラさん達への事前指導と練習、リハーサルでの演技チェックとアドバイス、そして撮影が始まると現場と監督さんのいるベースとを往復しての再確認と細かなところの手直し、撮影した直後のカット、カットの再生の立会い、などなどです。

そして、監督さんから “ここで何か一言追加するとするとどんなセリフ?” とか、このカメラ・アングルの後ろでエキストラさん達に何か動きを、とかの要望も頻繁に入ります。

それ以外には、美術さん達の要望に応じて小道具作成のお手伝いをしたりします。 例えば美術さんが用意した海図へそれらしい書き入れをしたり、書類などの書面をそれらしく作ったり、等々があります。

この第4話 「日清開戦」 (再放送の第8回) では、海図室で真之が海図上で艦位を記入したりするシーンがありますが、海図に予め色々な記入をしておきます。 また、ノートやメモ類の作成も。 もちろん左利きの私の字ですから、真之役の本木氏の字体とは全然違うのですが、遠目に見て “何か書かれている” ということが判れば良いので ・・・・ (^_^;






場合によっては、監督さんの求めに応じて、新たに追加のシーンやカットをまるまる造ってしまったりしたことも結構ありました。 あるいはアイデアを出してそれにより動きやセリフを元のものと替えてしまったり、追加したりは頻繁に。 上のように 「戦闘旗が落ちました〜」 や 「航海士、距離知らせ!」 などはその例です。

もちろんこれらの全ては、実際の史実としてどうだったかもありますが、肝心なのはプロデューサーや監督さんの意図に応じて、ドラマとしていかに “それらしく見える” 映像効果にするかと言うことです。 これが一番重要。 ドキュメンタリーではありませんので (^_^)







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 最終更新 : 02/Jul/2017