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第3話 『国家鳴動』 前編




第3話 『国家鳴動』 の前半 (再放送での第5回) からは、段々海軍関係が出てくるシーンも多くなり、私もADさんや美術さんなどのスタッフさん達と打合せや、ロケ現場の事前確認、ロケ立合などの機会が増えてきました。

とは言っても、海軍に関する場面が中心ですので、真之役の本木氏と女優さん達とのシーンには相変わらずお呼びがかかりませんで ・・・・ 母親 (貞) 役の竹下景子さんにお会いしてみたかったですね。 一応お気に入りの女優さんの一人ですので (^_^;




 松山帰省シーン


第3話の前半で最初の真之関係は、海軍兵学校最終年 (一号生徒) の夏期休暇で松山に帰省するシーンです。 ここでは3年ぶりに子規と再会する場面と、お囲い池での広島鎮台兵との騒動の場面がありますが、残念ながら上記のとおりで、これらのロケには参加しておりません。

ただ、お囲い池でのシーンについては他のシーンと一緒に渋谷での事前リハーサルにはお呼びいただきました。 このリハーサルの時も本木氏は茶目っ気丸出しの演技振りで、ロケではきっと面白いものになるだろうな、と (^_^)

このお囲い池のシーンは司馬遼太郎氏の原作にも出てくるもので、このNHKのドラマでも映像化されました。 ただし、実際からするとこの話しには疑問もあります。 そうです、明治16年に兵学校生徒の序列は 「准士官次席」 と定められているからです。

したがって、鎮台兵達が真之を生徒と知らなかったとは言え、警察でこの騒ぎが問題になることはあり得ず、むしろ出るところに出れば状況的には立場が逆になってしまいます。

まあ、若き日の真之のやんちゃ振りを示すエピソードの一つとして “ドラマですから” (^_^)

そしてこの騒動について温泉に浸かりながら父久敬が真之を諫めるシーンがありますが、これがこの後のシーンで活かされてきます。 即ち、次が真之が兵学校を卒業し少尉候補生として 「比叡」 に乗り組んでの遠洋航海途上のシーンで、 ここで真之は兄好古から父の逝去を知らせる手紙を受け取るのですが、この手紙を読むところで先の父久敬との入浴シーンが回想として挿入されます。




 遠洋航海シーン


遠洋航海における 「比叡」 の上甲板及び講堂でのシーンは、平成20年9月の横浜 「日本丸」 でのロケになります。




甲板上で真之が操帆訓練を指導する場面ですが、マストに登る水兵役は一般のエキストラさんでは危険ですので、「日本丸」 で日頃ボランティアをされている方々にお願いしました。 このため、よく見ると少々お歳の方もおられますし、中には女性も (^_^;








そして艦内の講堂で候補生達が手紙を受け取る場面。 講堂の黒板に講義の内容がチョークで書かれていますが、私のアドバイスしたものを元に美術さんがそれらしく。








この後に続いて上甲板上で亡き父を想うシーンは、佐世保ハウステンボスの 「観光丸」 ロケのものを繋いだものですが、こちらのロケには私は参加しておりませんので写真は無し。

なお、「比叡」 の全体像は先の第2話の前半 (再放送の第3回) で出てきた帆船の元になるCGです。 大きな画像でお見せできないのが残念ですが、非常に細かく作り込まれていて、大変に良く出来ています。


( 制作途中のものですので、各帆桁や艦尾の軍艦旗の向き、航跡の位置などがまだ直っておりません )




 「定遠」 見学シーン


続いての海軍関係は、遠洋航海から帰国し 「高千穂」 に配属となった真之が、折から日本に来航した清国北洋艦隊の 「定遠」 を見学するシーンです。 東郷平八郎が北洋艦隊の艦艇を見聞したときの話しは有名な史実ですが、もちろんこのドラマのシーンは真之と東郷との出会いを演出するためのものです。

「定遠」 艦上でのシーンは、平成21年1月の第3回川口ロケになります。 この時の 「定遠」 セットは、「浪速」 → 「筑紫」 と作り替えたものに、更に多少手を加えたものです。




制作スケジュールの都合と費用対効果の関係から、ロケ・セットとしては30糎連装主砲塔などは作られませんでしたので、これらは後からCGを合成したものですが、なかなか良く出来た画面になっていると思います。 この主砲の動きなどはVFXさんにアドバイスさせていただきました。




そして東郷平八郎が 「定遠」 の艦内に入って丁提督と会うシーンは、平成20年3月の第1回横須賀・記念艦 「三笠」 ロケです。 川口ロケより約1年前の撮影で、私がこの 『坂の上の雲』 に参画してから最初のロケでした。


(左側の各部屋は実物、右側はセット、美術さん上手く作るものです)

残念ながらこの時の 「三笠」 ロケでは出演者が限られているため、撮影中の写真の公開は ・・・・ (^_^;

このシーンは渋谷で事前にリハーサルをやりましたが、この時に東郷平八郎役の渡哲也氏とは 「男たちの大和」 以来の再会。 冒頭で関係者の紹介があり、私が挨拶した時に渡氏は 「あ〜、あの時の」 と。 覚えていていただいたようで嬉しかったですね (^_^)

この 「定遠」 見学と続く宮島の海岸での東郷と真之のシーンはもちろんフィクションですが、このドラマでの今後をスムースに繋げるためにここで二人の出会いの場面として加えられたものです。

実は、私はこの宮島ロケにも参加しておりませんで、撮影したものを後から見せていただいて “ちょっとこれは” という点が一つあったのですが ・・・・


( NHKさんの広報画像より )

そうです、東郷平八郎の常服 (軍装) に参謀飾緒がないんです。 当時東郷は呉鎮守府の参謀長でした。 参謀将校飾緒は明治20年の 「海軍服制」 の改訂で制定されておりますので、この時の東郷には当然ながらこれがなければなりません。

宮島ロケはこの 「三笠」 ロケや川口ロケより先に撮り終わっておりましたので、もう撮り直しも出来ませんし、VFXさんの修正も無理ですので、宮島ロケでのものに後からのロケを合わせざるを得ませんでした (^_^;  これもちょっと残念なところ。







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 最終更新 : 02/Jul/2017