第2話 『青 雲』 |
第2話 『青雲』 (45分バージョンの再放送の第3回及び第4回)は、真之関係では、子規と共に大学予備門の試験を受けるところから、真之が兵学校へ入り夏期休暇で松山に帰省するところまでです。
この第2話ではチョコチョコと色々なシーンのお手伝いをしましたが、最初に出てくるものでは、予備門在学中に真之と子規が鶴見付近の丘の上から沖の帆船を眺めるシーンです。
この帆船は全くのCGで海の映像に合成したものすが、この帆船、次の第3話での遠洋航海シーンで出てくる 「比叡」 がベースになっています。
この帆船のCG、大きな画像でお見せできないのが残念ですが、実は大変に細部まで作り込んであるのです。
画面上はあっという間に流れてしまうカットなのですが、担当のVFXさん、手抜きをしない、流石に職人肌と感心しました。 この第2話では真ん中当たりで、再放送では第3回のラストになります。
次ぎが、真之の海軍兵学校でのいくつかのシーンです。
これはもうあちこちでのロケを繋ぎ合わせていますので、第2話の編集時になって 「あ〜、あの時のカットとこれとこれを使って行くのか〜」 と感心しました。 そして、監督を始めとするスタッフの皆さんが、各地のロケの時にこの編集時の流れが頭に入っていることに驚いたものです。
まずは、真之が海軍兵学校に入学するところ。 平成20年9月の江田島・呉ロケにおける海上自衛隊幹部候補生学校でのものです。
明治19年のことですので、実際には真之は江田島移転前の築地にあった時に入校したのですが、はやりイメージ的に海軍兵学校は赤レンガでなくては、ということでこちらに決定されました。
普段は 「海上自衛隊幹部候補生学校」 の看板ですが、美術さん作成の 「海軍兵学校」 に掛け替えて。
もちろん、築地時代も江田島時代も海軍兵学校の看板は校舎玄関のこの位置には掛けられていなかったのですが、それはそこ、平間洋一氏と私の合い言葉 “ドラマですから” (^_^;
続いて入校後の様々なシーンですが、ベットからの起床の動作は平成20年6月の土浦ロケで、そして起床ラッパと起床後部屋から飛び出して廊下を走るところは、この平成20年9月の江田島・呉ロケでの、繋ぎ合わせです。
そして入浴シーンは、この江田島・呉ロケでの最終日に、呉市の (株) 神田造船所構内にある工員さん用の大浴場で。 本当は兵学校の浴場は内部がコンクリート打ち放しなのですが、そういう大きな古い浴場は今ではまず残されていませんし、また一般の公衆浴場とはイメージが異なりますので、ここは得難い大変貴重な場所でした。
テレビドラマのロケ、しかも本木氏が来ると聞いて女性職員も含む大勢の社員さんが見学に集まってくれたのですが、流石に裸のシーンですので、残念ながら撮影現場は関係者以外全てオフ・リミットで。
この入浴シーン、撮影はもっと長く色々なカットがあり、モックンの茶目っ気たっぷりの場面もあるのですが、ドラマでは編集の都合でかなり短くなってしまっていました (^_^; ただ、この時の写真がどこに行ったのか出てこない ・・・・ orz
兵学校での授業シーンは、平成20年6月の茨城県立土浦第一高等学校でのロケで。 この土浦一高には古い木造の校舎が保存されており、そこの旧本館をお借りしてのものです。
「ベース」 と呼ばれる撮影用のモニター類の設備も廊下の床に置いて (^_^;
( 後ろ姿は監督の柴田さん (中央) と記録の野田 (左) さん )
因みに、この記録の野田さんがまた凄い人なんです。 5年にもわたる撮影記録と編集の要の一人で、余人をもって代え難いとも言い得るでしょう。 このお話しはまた後で。
記録の野田さん、残念ながら昨年 (28年) 急逝されてしまいました。 葬儀などは身内のみだったということで、お別れにお伺いすることはできませんでした。 故人のご冥福をお祈りいたします。 合掌
英国人教師によるトラファルガー海戦の講義のシーンですが、教壇の掛け図は私が提供した史料を素に美術さんが作ってくれたものです。 また、生徒の机の上にある教科書も私が提供した素材を素に、美術さんがそれらしく作ってくれました。
そして第2話の真之の海軍兵学校でのシーンで最大の見所は何と言っても広瀬とのカッター競争の場面でしょう。 これも平成20年9月の江田島・呉ロケで。
2隻のカッターの艇長・艇員は幹部候補生学校入校中の現役候補生達の希望者によるボランティア。 とはいえ、希望者が多すぎて困ったそうですが ・・・・
( 撮影前に陸上で打合せ )
したがってカッターに慣れた防大卒だけでなく、4月に入校した一般大卒の候補生も多く含まれていますので、ちょっとオールが揃わないところも。 まあ、当時の兵学校でも新入生はそんなものですので。
( 手前のオレンジ色のライフジャケットが監督の柴田さん )
もっとも、2期違う真之と広瀬武夫がそれぞれ艇指揮になって競争するなどは実際にはあり得ないことですが、これもそれはそこ “ドラマですから” (^_^)
このドラマ上で今後重要な流れの一つとなる真之と広瀬との関係について、ここで二人の出会いを演出するために作られたシーンです。
そしてこの第2話関係では、ちょっと変わったシーンのロケに呼んでいただきました。 陸軍参謀本部で陸軍大学校同期の者達が好古がフランス留学となりそうだとうわさ話をしているところに丁度好古が通りかかるシーンです。
このシーンは、平成21年1月6日の横浜ロケのものですが、年が明けてまだ松の内ですので流石に陸軍関係を指導する方々の都合がつかず、急遽ピンチヒッターとして私に声がかかったものです (^_^;
ロケ地は陸軍参謀本部に見立てた横浜市開港記念会館。 市民の寄付により大正7年に開港記念横浜会館として出来たものですが、今でも当時のままの姿を伝える大変に立派な建物です。
もっとも、撮影で利用したのは好古が玄関を入ってホールを抜け、右手の階段を上がって、2階の廊下歩くところまででしたが。
このシーンで、陸大同期の井口達が皆で 「秋山隊、全滅!」 とやるカットは私が監督に提案したもの (^_^)
ところで、この第2話の海軍関係では大きなミスが一つ。 皆さんはお気づきになられましたでしょうか?
海軍兵学校が江田島に移転したあとに真之が夏期休暇で松山に帰省した一連のシーンです。 そうなんです、真之の白の夏制服に肝心な短剣 (当然剣帯も) がありません!
この時の松山ロケ及びその事前リハーサルでは私も含め海軍関係のアドバイザーが誰も付いていなかった (と言うよりNHKさんから要望がなかった) こともあり、現場では気が付かなかったようです。
後でこのロケの一連の映像を見せて貰った時、直ぐにこのことを指摘したのですが、もちろんもう撮り直しはできませんので、既に後の祭り (^_^; う〜ん、事前に一言確認して貰えればよかったのですが ・・・・ ちょっと残念。
最終更新 : 02/Jul/2017