第1話 『少年の国』 後編 |
NHKドラマスペシャル 『坂の上の雲』 の第1話 『少年の国』 前半 (45分バーションでの再放送第1回) では、海軍関係は全く出てきませんし、私のお手伝いもありませんでしたので、この思い出話も省略させていただき、第1話の後半 (再放送の第2回) から始めることにします。
思い起こせば、私がこのドラマに関わりだしたのは、平成20年の2月からになります。 当初の担当者が都合があって台本の考証途中までで降りることになりましたので、その後を引き継がれた私の大先輩である平間洋一氏のお手伝いをする形で始まりました。
ご存じのとおり平間氏は海軍史の大家ですので主として台本の考証を担当され、私が細かなところの考証や具体的な演出・美術関係のアドバイスをすることで始まりましたが、そのうち段々とVFXなどのお手伝いもということになり、結局最終第13話の編集終了の平成23年末までの約3年9ヶ月間となってしまいました。
長かったといえば長かったですが、大変に楽しく、そして私の第二の人生における非常に貴重かつ得難い経験をさせていただきました。 NHKさんに感謝です。
さて、この 『坂の上の雲』 で私が関係したものの内、ドラマ上最初に出てくるのが第1話の後半 (再放送の第2回) の最後、真之と子規が高橋是清と共に横浜港で英国で建造され日本に回航してきた 「筑紫」 の引渡式を見学するシーンでした。 平成20年5月に熊本・三角西港で行われたロケです。
ここは明治期に米などの搬出港として大変に栄えたところで、現在でも当時の街並みなどが保存されているところです。
( 元画像 : Google Earth より 三角西港のロケ地 )
( 西港の湾内の風景 )
( 左 : 石積みの水路 右 : 三角九州海技学院 )
( 左 : 旧簡易裁判所跡、現三角町国際交流村 左 : 浦島屋旅館(復元) )
埠頭は石積みの岸壁や木造の三角築港記念館など、明治初期当時の横浜港の雰囲気をよく残しているところとしてロケ地に選ばれました。 海上の台船上から見た岸壁付近。 右の木造2階建てが実際にある築港記念館、その左のレンガ造りの洋館はロケ・セットです。
三角築港記念館、いい雰囲気ですね。
ロケ・セットの洋館は、裏から見ると全くの張りぼて (^_^; 美術さん、上手く作るものですね。
「筑紫」 に見立てて海上に置かれた台船に曳船で曳かれたカッターで向かう乗組員。 皆エキストラさん達ですが、流石に艇首尾の艇員だけは地元のベテラン漁師さんにお願いしました。
実際の 「筑紫」 は巡洋艦に分類されているものの、僅か1350トンで乾舷の低い砲艦です。 しかし、これでは英国製の最新式軍艦の雰囲気が出せませんので、画面効果のためにドラマとして少々大きく (^_^;
この時の台船の画像に後で作った 「ドラマ用筑紫」 のCGを合成します。 その結果は放送でご覧いただいたとおりです。
そして、岸壁ではこの引渡式を見守る真之達のシーン。 カメラさんは海上に張り出したクレーン・アームの上からや揺れる桟橋の上から。
式典参列の軍人や岸壁に集まった群衆は、地元のエキストラさん達。 老若男女の大勢の方々に協力いただきました。 ロケの途中で一時雨になりましたが、皆さん濡れながら頑張ってくれました。
式典で演奏する軍楽隊役は熊本大学のブラスバンド部の皆さん。 指揮は指導の先生です。
余談ですが、この先生、恰幅が良すぎて用意した服のウェストが合わず、上着のボタンが留められません。 急遽両脇のところを割いて拡げましたが、画面上では全く判りません (^_^; その場での間に合わせ措置ですが、衣装さん、流石に上手いものです。
そして、引渡が終わって出港する 「筑紫」 を真之と子規が追いかけて行く桟橋のシーン。 この桟橋も撮影のための仮設のものです。
このシーンで使われた小道具のお魚さん達。 朝は新鮮なピチピチだったのですが、長時間の撮影で最後には干からびてしまいました。 う〜ん、朝の内にお刺身で食べたらさぞ美味しかったでしょうねえ (^_^)
なお、「筑紫」 艦上での引渡式のシーンは、この後の川口ロケにて 「筑紫」 セットで別に撮影です。
( 平成20年12月の川口ロケにて 日英の旗の揚げ替えテスト )
・・・・ ということで、第1話関連のお話しでした。
撮影の後は、ロケ中海面警戒に当たってくれた地元のダイバーさん達 (左) と、そしてジョーンズ大尉役のクロフォード氏 (右) と一緒に記念写真を。
流石に本木さんや西田さんとの写真は公開できないので ・・・・ (^_^;
最終更新 : 02/Jul/2017