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『 軍艦の発達 』 (呉海軍工廠造船部 昭和19年) |
故福井静夫氏が生前に氏自身がものした、あるいは纏めたと公言してきた旧海軍関係史料の中には、氏自身がその全容を明らかにしなかった (公刊しなかった、公刊できなかった) ものが私が知る限りでは5つあります。 ここで公開しますのは、その一つである昭和19年7〜8月の呉海軍工廠造船部に於ける第34、35期造船科の実習学生及び生徒に対するテキストです。 その全文については、刊行物でもネットでもこれまで出たことがありませんので、その意味では大物中の大物の一つであることは間違いありません。 (もちろん、旧海軍の部内文書ですから著作権を主張できるようなものでも、またほとんどが一般刊行物の翻訳や図のトレースなどが主ですから技術士官が纏めたものとしては公刊できるようなレベルのものではありませんが。) このテキストは故福井静夫氏が編纂したものとされていますが、何故か呉工廠の史料として残されたものはありません。 と言いますのも、続編を作るから、とか、海軍兵学校の教官の内示を受けていたから、とかの言い訳をして、実際に学生に印刷・配布した以外、原紙も含めて一切を呉工廠 (旧海軍) に残さなかったからです。 その後、第1編と第2編を一つにして改めて新たに表紙と編纂経緯・参考文献のページを作成して追加した他 (表紙の日付は一応昭和19年12月となっていますが、原稿の用紙が他のものとは明らかに異なるものです)、各編の目次頁をその後ろに移し代えております。 (何故か、第2篇の目次のページ番号を直していないのですが。) このため各編には元々あった目次ページはありませんし (大和ミュージアムに所在する呉市学芸課に収蔵されている福井氏が所持していた合冊綴りでは目次は元々の各編それぞれになっています)、かつ元々の呉工廠造船部のテキストであった原紙の内容に、一部 (かなり?) 手が加えられています。 ただし、福井氏によるこれらの加筆や修正などは、一部は戦後であることが判っているものの、それ以外については、いつ、どこを、どの様に変えたのかは判りません。 したがって、ここで公開しますものも、いつ、どの段階でのものか正確なところは不詳です。 ハッキリしているのは、内容の大元が呉工廠のテキストであったと言うことだけです。 大和ミュージアムに所在する呉市学芸課に収蔵分に記されている、本史料の作成・印刷・製本などの経緯についての福井氏自身の手書きメモについては、以前ブログの記事でご紹介しておりますので、これをご参照ください。 http://navgunschl.sblo.jp/article/177075133.html そして私の手元にあるのは、ブループリントではなく白黒の電子コピー版であることから、海幕が追加増刷した10部の内の一つで、破棄処分されたものが古書店に流れたものではないかと推察されます。 これもあって、大変に見難いものになっておりますが、元々の呉工廠でのテキストもそれほど綺麗でなものでは無かったと思われます。 そして、福井氏自身があまり綺麗な文字ではありませんので、これも手書き原稿の見難さの一つになっております。 モノクロでスキャナーしたものを白黒反転させてゴミ取りを始めてみましたが ・・・・・ こうすると確かに格段に見易くはなるのですが、原本の印刷の悪さと手書きの見難さもあって大変に手間暇がかかります。 あっさりとリタイプし直した方がはるかに簡単であったかと後から思いましたが、そのリタイプ版を作るにしても、まずは元史料がキチンとあることが前提になります。 そして、リタイプのためには掲載されている図の引用元のものを全て探す必要があります。 更に何よりも、福井氏本人が言っている如く、Havogaard の著書などの一般刊行物からの翻訳、図のトレースなどが主ですので、今日においては内容的に改めてリタイプしたものを作るメリットは余程の方々でなければそのニーズは無いのではないかと思われますが ・・・・? ( 左 : 「軍艦の発達」 第1編より 右 : Havogaard著 「Modern History of Warships」 より ) つきましては、一般の方々向けとして、合冊製本された元史料をばらしてスキャナーしただけのそのものの縮小版、そしてそれを白黒反転して、整形及び途中までのゴミ取りをしたものの暫定縮小版をご紹介することとし、合冊の冒頭と第1編及び第2編の3つに分けて、それぞれPDFファイルにて公開 することとします。 (目次ページはそれぞれの各編のファイルにも入れてあります。) もし研究者や専門家の方々、あるいは出版関係の方々の中で、リタイプ版を作ってみたいのでスキャナーした元の詳細版を、などのご要望がありましたらお知らせください。 状況・ご事情をみて考慮させていただきます。 |
(追加) : 取り敢えず試しにリタイプ版を作るとすればこの様になりますという一例を作ってみました。 誤字・脱字や仏・独語の表示なとは完全ではありませんが、元々の手書きよりは格段に読みやすくなりますし、何よりもスキャナーで読み込んで白黒反転したものに整形・ゴミ取りをするよりははるかに楽です。 ただし、原本にある艦型図などは、元史料から手書きで写したものを引用して、更にそれに修正を加えておりますので、参考に元史料のものと対比できるように両方を入れております。 |
「 軍艦の発達 」 合冊冒頭 縮小版 | 「軍艦の発達」 冒頭 反転 縮小版 | |
(130Kバイト) | (125Kバイト) |
「軍艦の発達」 第1編 縮小版 | 「軍艦の発達」 第1編 反転 縮小版 | |
(2.0Mバイト) | (2.1Mバイト) |
「軍艦の発達」 第2編 縮小版 |
(3.2Mバイト) |
「軍艦の発達」 試製リタイプ版 (部分) ← NEW ! |
(2.2Mバイト) |
最終更新 09/May/2021