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『公算学、誤差学参考書』 (海軍砲術学校、昭和5年)



ここで公開しますのは、昭和5年に海軍砲術学校が高等科学生用の参考書として作成されたもので、昭和2年に猪口敏平氏 (当時海軍大尉) が纏めた初版の改訂版です。

旧海軍の砲術については、一般的に 「公算射法」 と称せられるほどに (当の旧海軍自身はそう呼んだことはありませんが)、統計・確率学 (論) を応用した独特のものを創出しました。

「公算」 という用語は、「確率」 の同義語として使われますが、旧海軍における公算とは 「統計」 も含んだ概念になります。 そして、その確率・統計を取り扱う上で切っても切れないのが 「誤差」 という問題です。

本史料は、これらについて 「第1章 公算学」 及び 「第2章 誤差学」 としてそれぞれの基礎を、そして 「第3章 射撃関係諸公算」 においてそれらを射法に応用した主要なものを纏めて平易に解説したものです。

本サイトの 『旧海軍の砲術』 コーナー中にて順次公開中の 『射法理論』 のページを読まれる際の参考とされるとよろしいかと考え、ここに旧海軍史料の一つとして公開します。

PDF形式にてその全文を公開 いたしますが、ご存じのとおりのネット事情により、大変残念ながら印刷及び加工については不可の設定としており、また各頁の上下にロゴを入れています。

もし研究者の方で印刷可能バージョンなどのご希望がございましたら、掲示板又はメールなどでお聞かせ下されば考慮いたします。 勿論、公開いたしますファイルは、このままの形でしたら再配布などはご自由になされて結構です。

なお、ご存じとは思いますが、本史料を最初に作成した猪口敏平氏は今では 「武蔵」 がレイテ沖海戦においてシブヤン海で沈んだ時の艦長 (戦死後海軍中将、兵46期) として有名ですが、旧海軍における砲術の第一人者であり、鉄砲屋の重鎮でした。

氏の手になる旧海軍史料は、高等科学生の時の課題答申などを始めとして色々残されていますが、私などからするとその何れをとってみても溜め息がでる素晴らしいものばかりです。



平成27年3月22日追記 :

先日シブヤン海の海底に眠る 「武蔵」 が発見され、海の墓標たるその姿がネットでも公開されましたことはご承知のとおりです。

その 「武蔵」 の艦長であり、旧海軍における砲術の第一人者であった猪口敏平氏の業績を顕彰するため、今に残る氏の著作の中からいくつかを当サイトにて公開することといたしました。

つきましては、本史料は既に平成25年10月に単独で公開しておりましたが、これを機会にその 『猪口敏平著作集』 の一つとして纏めることにいたしました。




『公算学、誤差学参考書』
(1.2Mバイト)






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 最終更新 : 27/Oct/2013