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NYYA−1 とは ?



海上自衛隊で 「たちかぜ」 型に装備された海上自衛隊初の艦艇情報処理システムである WES (後に OYQ-1/2 と改称 )以前に、護衛艦のシステム近代化の手始めとして昭和45年に米国製 (米海軍のではない) のシステムを 試験的に 護衛艦 「たかつき」 に1セットのみ導入したのが 「NYYA-1」 です。

しかしながら、当時米沿岸警備隊でさえ採用しなかったというほど艦載の戦術情報処理システムとしては役に立たず、結局のところ全くの期待外れ以上の何ものでもありませんでした。

ところが、この NYYA-1 について、例えば日本版 Wikipedia では次のように記述されています。


NYYA-1

海上自衛隊が最初に開発した戦術情報処理装置は NYYA-1 と呼ばれる機種で、アメリカより提供された AN/USQ-20B (CP-642B) コンピュータ1基と AN/UYA-4 (OA-7979) コンソール4基、水平型で大型の AN/UYA-4 (OJ-195) コンソール1基より構成されていた。

アメリカ海軍がガーシア級フリゲートのうち2隻 (FF-1047, 1049) に搭載した海軍戦術情報システム(NTDS)の対潜版試作型 (ASWSC&CS, ASW Ship Command and Control System )に近いものであった。

NYYA-1 は64の近接した目標と、96の遠距離の目標を扱うことができたが、戦術データ・リンクおよび武器管制機能のいずれとも連接されなかったことから、多用途護衛艦 「たかつき」(38DDA) 1隻に搭載されるにとどまった。 しかし、これは後に開発される OYQ シリーズの基礎となった。



残念ながら、全く違う、というか 全くの誤り です。

詳細は機会があれば別にお話することとし、その概要について古い海自部内誌に掲載された当の担当者の投稿記事を引用してご紹介します。


( 左クリックすると別ウィンドでPDF版が表示されます )


これをご覧いただいてもお判りのように、計算機は CP-642B (1212) ではなくユニバック社製の CP-789 (1218) で、コンソールも NTDS 汎用の AN/UYA-4(OA-7979)や AN/UYA-4(OJ-195)ではなく、元々がレーダー・モニター用の AN/SPA-34 です。

そして何よりも、肝心なシステムとしての情報表示はコンソールではなく、2面のプロジェクターへのフィルム描画の投影です。 早い話が “電動紙芝居” に毛の生えたようなものであり、描画のメインは NC-2 プロッターなのです。

実際のところ、ちょっと見にくいですが、FRAM の検討用に手書きした改造前の第1 CIC のレイアウト図です。




このシステムが “海上自衛隊が最初に開発した戦術情報処理装置” でもなければ、“後に開発される OYQ シリーズの基礎となった” ものでもある訳がありません。

もちろん、米海軍が FF-1047/1049 に搭載した 「FF CDS」 とは何の関連も ありませんし、似ても似つかない 全くの別物 です。

そして、「たかつき」 の FRAM 工事において、この NYYA-1 一式はあっさりと (当然ですが) 撤去、処分されております。







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最終更新 : 07/Jun/2020