旧海軍が作成したものを海上自衛隊が昭和35年になってそのまま出した 『艦船座礁事件摘録』 のご紹介です。
旧海軍の艦船が起こした座礁事故のうち、明治30年から大正6年までの100隻についてその概要を纏めたもの で、これを海上自衛隊第1海上訓練指導隊が艦艇長講習参考資料としたもので、元々の旧海軍作成の縦書きにのものをものを横書きに直した以外はそのままです。
本史料の元々の旧海軍での作成期日は示されておりませんので不詳で、大正10年に 「三笠」 (戦艦から海防艦に種別変更された直後)が座礁事故を起こしていますので、これを機に海軍部内に対する注意喚起のためのものだったのかもしれませんが、流石に 「三笠」 の例 (名) を出すわけにはいかなかったとも考えられます。
当時の海図や測量などの精度、航海機器の状況を考えると致し方ない面もあるのでしょうが、それにしても多いですね。
昭和35年当時に艦艇長講習参考資料として200部が印刷されたことになっていますが、どこに、どの様に配布し、どの様に活用されたのかは不詳であり、また印刷・配布はこの時の1度だけと思われます。
私は2度艦艇長講習を受講しましたが、本資料については既に全く使われなかったどころか、この様な資料があることさえ出てきませんでした。 現役中にさる所でこれが1冊埋もれたままになっているのを見つけてコピーをとっておきましたが、その他のところでは全く見かけたことも話を聞いたこともありません。
う〜ん、これも今となっては海上自衛隊のどこにどれだけ残っているのか ・・・・ ?
約240頁ですのでとても整形・ゴミ取りをする余裕がありませんので、コピをディジタル化した時のままのものをPDFファイルとしたもので良ければ、この方面に関心のある研究者の方にはご要望があればご提供したいと思っています。
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