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マハン著 『海軍戦略』 全邦訳






今更改めてご紹介するまでもなく米国の戦略研究家アルフレッド・セイヤー・マハン (Alfred Thyer Mahan) と彼の代表的な著作名をご存じない方はおられないと思います。

そのマハンが、彼の戦略研究の集大成とも言えるべき 『海軍戦略』 をものしたのは死去3年前の1911年のことでした。 元々は米海軍大学校における彼の講義史料であったものに加筆したものですが、出版に当たり追加された部分には日露海戦に言及した章もあることから、日本海軍でも直ちにこれを入手して広く読まれることとなりました。 ところが、その原文がなかなかの難解であったことから邦訳が遅れ、海軍軍令部が尾崎主税中佐に命じて全訳させたのは実に昭和7年 (1932年) のことでした。

この日本海軍の手になる全訳版は昭和53年になって原書房からそのまま復刻されていますが、残念ながらこれも既に絶版となっています。 ただし、昭和7年版の軍令部版も、またその昭和53年の復刻版も古書としてかなり出回っておりますので、入手は比較的容易かと思います。

ここでご紹介しますのは、海上自衛隊創設期に横須賀田浦にあった海上自衛隊術科学校 (その後機関関係のみ残ったものが現在の第二術科学校) が学生の教育用として軍令部版を再活字起こししたものです。 また、参照に便利なように付図はすべて最後に纏められています。

内容は軍令部版の原本そのままですが、元々が縦書きであったものを横書きとしたため、現在の私達からすると格段に読みやすいものとなっています。 元々の軍令部版、あるいはその戦後復刻版を入手されてもよろしいですし、現在では本来の英語原文のものもネット上で公開されていますが、こういうものもまたあっても良いと思っています。 興味のある方々にとって選択肢は多い方がいいですから。

この海自術科学校版、昭和31年に学生教育用に作成されたものですが、残念ながら今となってはどの課程でどのように使われたものなのかなどはわかりません。

そしていつも申し上げておりますが、防衛庁・海上自衛隊と言うところは、目先の仕事に関係のない資料・史料についてはほとんど関心がありませんので、この術科学校版も今となっては一体どこにどれだけ残されているものか。 (実際私の手元にあるものは、その後に第二術科学校となった当の組織がある時期に戦後の海自資料については自己に関係する機関(エンジン) 以外はすべて処分することとしたため、それならと貰っておいたものです。)

術校版の表紙を除き、全文を1つのPDFファイルにして公開 いたしますが、いつもどおり各頁の上下に当サイトのロゴを入れており、かつ印刷・加工はできない設定としております。 もし専門の研究者の方で印刷可能版のご希望がございましたら、お聞かせ下されば考慮いたします。

勿論、公開いたしますファイルは、このままの形でしたら再配布などはご自由になされて結構です。




『海軍戦略』 邦訳再活字起版
(21Mバイト)






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 最終更新 : 17/Jun/2013