ここで公開しますのは、秋山真之 （海兵１７期） が明治３６年から明治４０年にかけて海軍大学校の第４〜６期将校科甲種学生に対する講義内容を纏めたもので、明治４１年２月に印刷発行されたものです。

緒言では明治３６年４月となっていますが、これは秋山が講義を開始したときと考えられます。　しかしながら、この明治４１年版以前のものは現存していないようですし、また実際に当時存在したのかも不明です。

幸いにして本史料は一応の推敲が終わった講義の完成形と考えられ、しかもタイプ印刷ですので、そのままの状態でディジタル化して公開します。　中の図版も赤黒の２色刷のものがありますが、そのままカラーとしてあります。

本史料の内容についての細かな解説及び所見などについては、機会があればまた別に行いたいと思いますが、まずはこの第１級の史料を存分にお楽しみいただきたいと存じます。

また、「戦務」 という用語はその定義が大変に難しいものの一つで、この秋山以前からも一応あることはあったようですが、旧海軍としてはこの秋山の 『海軍戦務』 によってその一定の範囲が示されたと言えます。　これも書き出すと長くなりますので、詳細については別の機会と言うことに。

ただし、いつも申し上げているように、本史料は本来が実務経歴もそれなりにある海軍大尉クラスを対象とする内容のものですから、現在の研究者の人達がこれを読みこなすには相当の知識と感性が要求されることは間違いありません。

そのことを忘れて、論文書きなどでよく見られるように、元史料の一部の文言だけを好きなように取り上げて勝手な解釈をするようなことをすると、とんでもないことになりかねないことには注意が必要です。

ＰＤＦ形式にてその全頁を公開 いたします。　本史料の内容は一般刊行物においては既に幾つかのもので紹介されておりますが、ネット上も含め 原本そのものの形で公開したものは本邦初 である思います。

ただし、ご存じのとおりのネット事情により、大変残念ながら印刷及び加工については不可の設定としており、また各頁の上下にロゴを入れています。　　もし研究者の方で印刷可能バージョンなどのご希望がございましたら掲示板又はメールなどでお聞かせ下されば考慮いたします。

勿論、公開いたしますファイルは、このままの形でしたら再配布などはご自由になされて結構です。