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ご来訪20万名達成記念企画


『海軍作戦通信史』 (昭和28年)


ここで公開しますのは、昭和28年に当時の警備隊 (海上自衛隊の前身) 術科学校のテキストとして作成されたもの、および極東米陸軍司令部戦史課が翻訳して米本国に報告したものの2つです。


特に警備隊版につきましては、その史料名は研究者の間では知られていたものの、現在に至るまでその全容は明らかにされてこなかったもので、言わば幻の史料の一つと言えるものです。 (注)


両史料は同じ原文に基づき作成されてたものと考えられますが、それぞれの作成経緯や目的の違いにより目次体系が異なり、また各項目の内容表現に若干の差があるものの、図表などのデーター類を始めとして基本的には同一であることが明らかです。


本史料は、太平洋戦争期における旧海軍の通信に関することはもちろんですが、単にその通信に留まらず、航空基地整備やレーダーなどの配備などについても有益なデーターが記録されています。 また、通信面からみた太平洋戦争の推移なども含め、戦後史料としては大変貴重なものであると言えます。


両史料を PDF形式にてその全文を公開 いたしますが、ご存じのとおりのネット事情により残念ながら印刷及び加工については不可の設定としております。  もし研究者の方で印刷可能バージョンなどのご希望がございましたら掲示板又はメールなどでお聞かせ下されば考慮いたします。


勿論、公開いたしますファイルは、このままの形でしたら再配布などはご自由になされて結構です。




警備隊版   米軍英訳版
 
(15Mバイト)   (15Mバイト)



(注) : 管理人はこの警備隊版 (昭和28年) については職業柄もあって昔から知っていました。 当時はなぜ記述に中途半端なところがあるのか、特に目次において 「削除」 とあるもの、あるいは本文中に項目のみで内容の記述がないもの、等々その理由について疑問に思っておりましたが、これについては編纂者とされる石黒氏がまだ研究途中であるためと考えていました。


とろこが、本史料の原本らしきものが電気通信大学歴史資料館にあるとされていることが判りました。 これについては 『帝国海軍への鎮魂頌』 というサイトにて詳しく紹介されていますのでご参照下さい。 次のURLです。


http://homepage2.nifty.com/ijn-2600/navalcommunications.html


目次体系が同じであり、かつ削除となっている項目も同じで、漢字カタ書きであることから、この電気通信大学所蔵のものが元々の石黒氏の原稿であり、これを漢字かな書きに直して印刷したものが警備隊版と考えられます。 


600部作られたとされていますが術科学校で教育用に使用されたもの以外の配布先などは不明で、かつ今となってはどこにどれだけ残っているのか ・・・・ 


ところが、後になって米軍側から入手した今回公開する 「Japanese Monograph No.118」 (1953年) はご覧頂ければお判りのように、目次体系は異なるものの、内容からして警備隊版とその元資料が同じであることは一目瞭然です。


しかしながら、この 「Japanese Monograph」 シリーズの一連の原史料については国立国会図書館の憲政資料室に保管されています。 そのリストを見ると、本史料については 「118 作戦通信史 (自開戦至終戦) 第二復員局残務処理部 昭和24年3月調整」 とされています。


これによって警備隊版 『海軍作戦通信史』 と米側史料 「Japanese Monograph No.118」 の出所は明らかと考えます。 つまり終戦直後に作成された一連の旧海軍史料と同じ類のものの一つであったわけです。


しかしながらこれによって、当然次の疑問が出てきます。 即ち、第二復員局残務処理部の原史料の作成は石黒進氏本人一人だけの手によるものなのか? この憲政資料室の原史料と電気通信大学所蔵史料との関係は? 原史料の作成が昭和24年 (1949年) であるが、米側翻訳版が警備隊版と同じ1953年となっているのには何か理由があるのか? などです。


( とは言え、昭和28年にもなっても米軍はまだ旧陸海軍のことについて関心を持って調べていたことに驚かされるわけですが。)


何れにしましても、これらのことについては本史料をご活用いただく研究者の方の今後の調査にお任せするとして、まずはこの第1級とも言える素晴らしい史料をお楽しみいただきたいと思います。







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 最終更新 : 06/Jul/2011