本史料は、フレッド T.ジェーン (Fredrick Thomas Jane, 1865〜1916) の手になる日露戦争直前の日本海軍及びロシア海軍についての著作です。
ご存じのとおり、ジェーンは19世紀末から20世紀初頭にかけて一世を風靡した著名な海軍研究家の一人であり、また現在まで続いている有名な 『ジェーン海軍年鑑』 (All The World's Fighting Ships、現在では Jane's Fighting Ships のタイトルに変更されている)
の創始者でもあります。
ジェーンは、先に1899年にロシア海軍についての大作を出版しましたが、日露戦争開戦必至とみて対する日本海軍についてのものを書き始め、1904年に開戦当初の状況を付け足して出版しました。
両書の内容はほぼ同じ構成で、それぞれの海軍についてその歴史に始まり、執筆当時の当該海軍の組織編成や人員、教育、艦船・兵器などを網羅しています。
しかしながら、ロシア海軍が17世紀に始まる歴史があるとはいえ、当該海軍については約700頁もの大作であるに比べ、日本海軍についてはその半分の約360頁に過ぎません。 これが当時の英国における両海軍に関する情報量の差であり、また認知度の違いを如実に現しているとも言えます。
ここで公開しますのは、元々の原書はロシア海軍のものは海軍大学校、日本海軍のものは海軍兵学校の蔵書であったものです。 勿論私は両書そのものは保有している訳ではありませんで、それぞれの所有者から特別の許可を得てディジタル化したものです。
両書とも復刻版がいくつか出版されており、これらは現在でも洋書取扱店で入手可能ですが、当サイトでは巻末広告も含めて当時の初版本の全頁をお届けします。
司馬遼太郎原作の 『坂の上の雲』 が NHK によってドラマ化され、2009年末から3年間にわたり放映されており、これに伴ってまた日露戦争ものが話題になりそうな状勢です。 ここで公開する両書は第三者である英国の著名海軍研究家の手になる、当時の両海軍のガイドブックとして、私のサイトでご紹介する今日的な価値は十二分にあるものと考えております。
ここではそれぞれを1つのPDFファイルで公開 いたします。 ただし、約25Mバイト及び約33Mバイトありますのでダウンロードの際にはご注意 ください。 |