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三重航空基地



三重航空基地は、昭和14年3月の 「第四次海軍軍備充実計画」 (通称〇四計画) により雲出川と雲出川古川に囲まれた三角州である三重県一志郡香良洲の地に航空隊設置決定されたことにより、同年4月に用地買収が行われて建設が開始されたことに始まります。  

しかしながら。昭和17年5月のミッドウェー海戦敗戦を受けての航空要員の大量急速養成のために本基地を予科練教育専用とすることとされ、造成中の飛行場建設を取り止めて必要な講堂・兵舎などの諸施設を急造することとなり、昭和18年12月になってその大半が完成したとされています。

このため基地南側には滑走路造成中のまま残されましたが、飛行場機能を有していないことから一部が滑空機用とされた以外はこれが使われることはなかったとされています。

昭和17年9月に河曲郡玉垣村に専用滑走路を造成して飛行科を移転、操偵適性飛行作業を行ったとされていますが、詳細は不明です。 因みに、当該地は後に第二鈴鹿航空基地となっています。

そして早くも昭和17年8月1日に予科練教育を担当する三重航空隊が開設されることになりました。 その三重航空隊の状況の概略は次のとおりです。

昭和17年 8月 1日
三重航空隊開隊
    同 第十一連合航空隊に編入、練習航空隊に指定され予科練教育を担当
昭和18年 4月 1日 第十九連合航空隊に編入
  同  12月 1日 奈良分遣隊を置く
昭和19年 3月15日 西宮分遣隊を置く
  同   6月 1日 滋賀分遣隊を置く
  同   8月15日 滋賀分遣隊を廃止して滋賀航空隊となり、西宮分遣隊を滋賀航空隊に移管
    同 高野山分遣隊を置く
昭和20年 3月 1日 第二十連合航空隊に編入
    同 奈良分遣隊、高野山分遣隊を廃止、それぞれ奈良航空隊、高野山航空隊となる

なおこの他に、昭和20年5月に長野県野辺山の地 (現在の国立天文台のある場所) に野辺山派遣隊が置かれたとされていますが、詳細は不明です。


開隊前日の昭和17年7月31日には土浦及び岩国から飛行予科練習生1300名が到着、翌日から教育が始まったとされて、その後続々として甲飛、乙飛、特乙飛、予備生徒の教育が行われました。 そして昭和19年8月には飛行練習生の中から第1次の震洋要員選抜が行われたのを皮切りに、この選抜も続くことになります。

しかしながら、昭和19年12月の東南海地震により施設に被害がでたこと、そして米軍爆撃機による名古屋方面空襲などにより予科練教育も思うように進まなくなってきたことから、一部を他の基地へ分散疎開させるとともに、昭和20年3月には木造建物の解体も始まったとされています。

これもあって、昭和20年の6月頃には練習員教育は実質的に停止となり、練習員は退避壕の建設・強化の作業や米軍上陸に備えての陸戦訓練となったとされています。

終戦後は、広大な基地埋め立て地の基地施設を完全撤去の上で民間に払い下げられ、香良州町 (現在の津市) の土地整備計画に基づいて活用されているとされていますが ・・・・・

現在では、衛星写真を見る限りでは航空基地跡を窺わせるものはほとんど見受けられませんが、隊門や煉瓦塀などの遺構も多少は存在するようです。



  
昭和13年の日本地図を基にした1945版の米軍地図より。    現在の衛星写真から、周辺航空基地との関係。 黄色文字は陸上機、緑色は水上機、桃色は予科練教育です。
(元画像 : Google Earth より) 
 
昭和12年の日本地図を基にした1944年版の米軍地図より。   国土地理院の電子地図から当該部分。
 
1947年の米軍写真より。 終戦時の状態がほぼ残っており、基地全体のレイアウトがよく判ります。   衛星写真による現在の状況。 基地跡の状態は区画割などで判る程度です。
(元画像 : Google Earth より)
 
1953年の米軍写真より。 木造の兵舎・講堂などはかなり撤去されておりますが、まだ基地全体のレイアウトはほぼ残っています。   昭和50年の国土地理院の航空写真より。 基地跡地はほぼ農地化され、一部は宅地化が進んできていますが、道路などの区画割には当時の状況が残されています。
   
終戦時の旧海軍史料より基地施設のレイアウト図。 (上が東南東方向)
元々の印刷が悪いことと、6枚の合成ですので細部の整合が上手くいかずに、多少見難いところがあります。
   



 
正門 (撮影時期不詳)   隊舎 (同左)
 
練兵場における観兵式 (同上) ポンドにおける飛び込み (同左)
 練兵場における海軍体操 (同上)
 練兵場における飛行予備学生入隊式 (昭和18年10月4日)






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最終更新 : 20/Jun/2021