この写真集は、明治の著名な写真家である光村利藻氏の手になるもので、関西写真製版印刷合資会社 (現在の光村印刷 (株) の前身) から出版されたものです。
光村氏の写真集としては別項の 『 War Vessels of Japan 』 の方が有名ですが、そちらの方は当時としては豪華な製本となっており、多分輸出向けと考えられ、一般庶民としてはちょっと手が出なかったのではないでしょうか。 対してこちらは簡易な製本であり、1冊の頁数も少なく抑えかつ目次頁さえないことから、おそらく最初から国内一般向けを意図したものだったと考えられます。
明治34年12月の第1集から同35年2月の第4集までは出版され、その現物を確認できました。 ただし、国立国会図書館には第5集まで収蔵されておりますので、本写真集の出版は第5集で終了したとしてよいようです。 (もしご存じの方がおられましたらご教示下さい。)
1冊にそれぞれ12枚の写真が収録され、中型艦以上は艦の全景とその艦上写真との組合せが基本となっており、収録されている写真は全て光村氏の撮影したものと考えられます。
ほとんどの写真は、戦前のものも含め既に国内の一般刊行物でも広く掲載されており、特段目新しいものはありません が、艦上写真の中には珍しいものがいくつか 含まれています。
余談ですが、学研の歴史群像シリーズ48 『日本軍艦発達史』 に三康図書館所蔵とされる写真集の内32枚が掲載されています。 その中には 本写真集にあるものと同じ写真が9枚 あります。 ただし、学研掲載のものはオリジナル・プリントのために経年変化の退色 (変色) が進んでいるのか、 今となっては印刷された本写真集の方が鮮明なものが多いです。
学研のものと重複する写真は次のとおりです。
「敷島」、「富士」 中甲板、「松島」、「八島」、「筑紫」、「筑紫」 諾式五連機砲、「金剛」、「金剛」 側砲、「扶桑」
私のディジタル・コレクションでは保存用は600dpiでスキャンしてありますが、如何に素晴らしい光村氏の写真とはいえ、当時の印刷技術からする荒さは隠しようがありませんし、紙質の経年変化による劣化も加わって、オリジナル写真の画質には到底及ばないのは日本国民の一人としても大変に残念です。
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また、現在、国立国会図書館の 「近代ディジタルライブラリ」 において第1集〜第5集の全頁が公開されております。 一人歩き防止のための透かしロゴの入っていない大きなサイズのものをご覧になりたい方はそちらをどうぞ。 ただし残念ながら画質は格段に落ちますが。
最終更新 : 09/Jan/2011