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海上自衛隊の弾火薬



今回は海上自衛隊で使用する (あるいは “使用していた”) 弾火薬についてお話しします。


警備隊及び海上自衛隊の創設期において、この 「弾火薬」 についてどの様に教えていたのかは、残念ながら史料も残されておらず不詳です。 火薬そのものについては、昭和30年に海上自衛隊術科学校が出した 『火薬学講義案 (航空武器学生用)』 というのが残されていますが、それ以外については判りません。  しかしながら、武器も弾薬も国産のものはまだほぼ無い状況にあっては、米海軍の資料をそのまま、あるいはこれを翻訳したものが使われていたものと考えられます。




江田島の第1術科学校となってからの幹部中級射撃課程用としては、昭和48年の 『弾火薬教科書』 と言うものがありますが、 私達の時のSGについては記憶がありません。 しかしながら、『砲銃弾薬及び火工品性能要目一覧表』 というものが別に残されていますので、たぶん昭和48年版の 『弾火薬教科書』 にこの一覧表が具体的な弾火薬種の追加・修正として用いられて教えられたものと考えます。


「弾火薬教科書」 (昭和48年) (暫定版)
 11.2Mバイト


「砲銃弾薬及び火工品性能要目一覧表」  (暫定版)
 16.9Mバイト



『弾火薬教科書』 では、火薬学、弾薬、弾薬要務の項目が含まれており、そして最後のページには参考としたものとして米海軍の教範・資料などが列挙されています。

弾薬については現在までに多少変わってきてはいますが、弾薬要務については基本的に同じですので先の射撃要務のページをご参照いただくとして、火薬学については一般の文献の方が詳しいと言えるでしょう。

例えば、火薬学については平成2年に防衛技術協会が出した 『火器弾薬技術ハンドブック』 の第2編第1章火薬類 (令和4年の改訂版では第2編の2) で十分ですが、この本の全体は陸上火器がほとんどであり、かつ執筆陣には艦載砲の専門家はおりません。

一般産業用としては、昭和41年に共立出版から工業火薬協会編の 『工業火薬ハンドブック』 (昭和62年版では 『火薬ハンドブック』) が出ておりますが、これなどは軍用も含め火薬学については大変に詳細なものです。


ここでご紹介する2つのPDFファイルはいずれもディジタル化したままでまだ整形やゴミ取りをしていない “暫定版” ですが、これらの内容については海上自衛隊、と言うよりは海上幕僚監部からは一切説明されたことも公開されたものもないもので、またこれまでその意思・意向については一切見られませんので、本サイトが初めてのことと思います。

ただし残念ながら、ご存じのとおりのネット事情により印刷及び加工については不可の設定としております。 本来公開するのは “歴史保存” についての海上幕僚監部の責任であり国民に対する義務すので、私がそれを肩代わりするつもりはありません。 もし一般の研究者の方などで印刷可能バージョンなどのご希望がございましたら掲示板又はメールなどでお聞かせ下されば考慮いたします。

勿論、公開いたしますファイルは、このままの形でしたら再配布などはご自由になされて結構です。



なお、防衛大学校におけるかつての防衛学においては、この 「弾火薬」 についても大変に詳しいものが教えられていました。

例えば、これも私が防大1学年の時に4学年の一人が卒業時に 「お前はこういうものが好きな様なのでこれをやるよ。 これも俺が先輩から貰ったものだけど」 と言って譲ってくれたのが古い陸上防衛学の 「弾薬」 という教科書でした。




もちろん、現在の防衛大学校では残念ながらその当時の防衛学の状況は見る影も無くなってしまい、“将来の幹部自衛官たらんとする者を教育・訓練する“ ことなどは全く軽視され今では狭い学習範囲を履修した学士号を取らせるだけの教育が幅を効かせる、単なる全寮制の名実ともに “国立小原台学園” となってしまっていますが (^_^;



これらの古い海自のSGや防大の教科書についても、現在となっては残されているのかどうか ・・・・ ?


旧海軍における弾火薬については、海軍兵学校の砲術教科書を始めとして様々の史料が作成され、それらのものについては現在もかなりのものが残されていますが、これについては稿を改めて 「砲術講堂」 の方でご紹介をしたいと考えております。







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 最終更新 : 23/Jun/2024